自由帳【番外編やおまけたち】
「何だよボーッとして。要らないなら仕舞うけど」
「い、要る! 要ります!」
我に返り大慌てで自分の携帯電話を操作していると、差し出された佐々岡さんの携帯電話が小刻みに揺れている。笑ってるし!
ちょうど打ち込み終わる頃に、すっかり笑いの収まった声で話しかけられた。
「一応言っておくけど。俺としては、もう少し順序よく進んだ方がいいと思ってたんだからな」
続けて、ひとつ小さなため息が聞こえる。
「電話番号だって、タイミングみてこっちから聞こうと思ってたのに……これだから酔っ払いは」
前半部分の言葉が非常に気になるところではあったが、またもや〝酔っ払い〟を強調されてつい大きな声で言い返していた。
「だ・か・ら! お酒はもうほとんど抜けてますって!」
顔を上げると、思い切り視線がぶつかって。
身を乗り出してきた佐々岡さんに、あっという間に距離を詰められた。もう少しで額と額がぶつかってしまいそうなほどに。
「ーーそんなに言うなら試してもいいけど」
「なななな、なにを……」
落とされた影と、呟かれた低い声。
素面なはずの彼に妙な色気を感じてしまい、思わず息を飲んだ。