自由帳【番外編やおまけたち】

「何だよボーッとして。要らないなら仕舞うけど」

「い、要る! 要ります!」


我に返り大慌てで自分の携帯電話を操作していると、差し出された佐々岡さんの携帯電話が小刻みに揺れている。笑ってるし!


ちょうど打ち込み終わる頃に、すっかり笑いの収まった声で話しかけられた。


「一応言っておくけど。俺としては、もう少し順序よく進んだ方がいいと思ってたんだからな」


続けて、ひとつ小さなため息が聞こえる。


「電話番号だって、タイミングみてこっちから聞こうと思ってたのに……これだから酔っ払いは」


前半部分の言葉が非常に気になるところではあったが、またもや〝酔っ払い〟を強調されてつい大きな声で言い返していた。


「だ・か・ら! お酒はもうほとんど抜けてますって!」


顔を上げると、思い切り視線がぶつかって。
身を乗り出してきた佐々岡さんに、あっという間に距離を詰められた。もう少しで額と額がぶつかってしまいそうなほどに。


「ーーそんなに言うなら試してもいいけど」

「なななな、なにを……」


落とされた影と、呟かれた低い声。
素面なはずの彼に妙な色気を感じてしまい、思わず息を飲んだ。

< 68 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop