【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「そう……」


私はカウンター内にいるバーテンダーにミモザを注文した。橘さんもお代わりと空のグラスを上げた。


「やり直さないか、俺たち」
「え……?」
「よりをもどしたい。浮気したことは許せないだろうけど、もう絶対に紬を泣かせるようなことはしないから。約束する」


隣にいる橘さんはまっすぐに私を見つめた。鋭く、そして、熱い瞳で。私はたじろいだ。こんなふうに彼に見つめられるのは初めてだ。

どうしたの? 橘さん……。


「紬?」
「あ……でも」
「あの男とは続いてるの?」
「ええ、まあ。でも……ちょっといろいろあって」
「いろいろ?」
「彼、御曹司なの。三國不動産ホールディングス会長のご子息で」
「ええっ!? そうだったのか? 言われればなんとなく、そんな雰囲気あるよな」
「まあ、だから。一流企業の社長令嬢との縁談もあって。私じゃ太刀打ちできない部分が多いし」



雅さんの顔が浮かぶ。私は雅さんが好きだ。でも。揺らいでいるのも事実だ。
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