【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
☆番外編☆ 唐澤さんの恋の行方
……一目惚れってあるんだな。


身を持って体験するということで、オレは初めてそれを知った。

相手はホテル業界No.1と言われるホテルオーナーのご令嬢、二階堂咲希さんだ。この春、高校を卒業して花嫁修行に励むことになっている。

咲希さんとは面識はあった。彼女とオレのボスの親同士が知り合いで、「簡単に言えば年の差幼なじみだ」と、ボスは言う。

ボスが海外から帰国すると咲希さんはよくボスの実家に泊まりに来ていた。しかもボスのベッドで添い寝とか。

ボスと咲希さんの年の差は17。だからボスから見たら妹とか、ヘタしたら子どもとか、そんな感覚なんだと思うんだ。

だって、ついこないだまでは、咲希さん、というよりは、咲希ちゃん、と呼びたくなる幼さだったから。

いつもにこにこと笑って、いいお嬢さんだ、と賞される女の子。


だから、今回、日本にもどったとき、オレはすごく驚いた。

咲希ちゃんは、咲希さん、いや、咲希さま、とお呼びしたほうがしっくりくるくらい、大人になっていた。

相変わらず背は低めだけど、放つオーラが全然違う。輝きとか艶とか、そんな陳腐な言葉では表せないくらい、キレイになっていた。

だからオレは驚いたというより、焦った……というほうが正解。

オレは一瞬で恋に落ちたんだ、大人の咲希さんに。




*―*―*

「一週間、よろしくお願いします」
「さ、咲希さまっ! そんな改まって、唐澤、恐縮いたしますっ!! 頭を上げてくださいっ!」


オレが慌ててそう言うと、彼女はクスッと笑って姿勢を戻した。

今日からボスとのお試し同棲が始まる。

日の当たる副社長室。
襟ぐりの開いたニットからのぞける白い谷間。

きっとC。アンダー70のC。それもすごく形のいい胸。


丁寧にお辞儀する女の子は、その上品な仕草とは少しかけ離れた格好をしていた。素足に膝までのブーツ、その上はウールのミニスカート。襟ぐりの大きく開いたニット……その辺にいる女子高生と変わらない。

あの二階堂夫人がよく、こんな格好を許したと思った。愛人の子どもである彼女を夫人は必要以上に厳しくしつけていた。愛人の子だ、と言わせないために。

服だって靴だってカバンだって、海外の超一流ブランド。絶対下品なスタイルはさせない。

なのに、このミニスカート?
雅副社長へのハニートラップ?


でも雅副社長は藍本さんという心に決めた女性がいる。

これで咲希さんの失恋は確定。
そしたら、チャンスは巡ってくる。

傷ついた咲希さんをオレが優しく……。

いや、何を考えているんだ。
咲希さんがオレを好きになってくれるはずもない。仮に両思いになったとしても身分が違いすぎる。

無理か。
結局のところ、オレの失恋も確定な訳で。


*―*―*
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