【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
勝ち誇った顔をして雅さんは私の肩を抱いた。


「わかってもらえたようだな」
「紬……?」
「いえ、あの、違うの! 私はただ……?んぐっ☆★※!!」


雅さんは私の肩を抱いていた手を口元にやり、塞いだ。


「互いに結婚の意志も確認している。近々、正式に婚約する」
「そうですか、信じられないけど。ついこの前まで僕ひとすじだったから。今日のところは帰ります。紬、だまされないで」


橘さんは荷物を持って部屋から出て行った。ドアが閉まる音がして雅さんは私を解放した。

口を塞がれて息が苦しかった私は大きく何度も深呼吸した。


「雅さん! もう苦しいじゃないですか!」
「紬」
「なんですか? え……?」


今までにない冷酷な瞳。細く鋭い目に私の体は射抜かれたように動けなくなった。なに、この威圧感。怖いくらいに私を見つめる。空気がピンと張り詰めた。


「どうして男を部屋に入れた」
「荷物を取りに来ただけで」
「そんなもの口実だって気づかないのか?」
「本当に荷物だけです」
「口説かれただろう? キミは甘い言葉を聞くと瞳が潤む」
「そんなこと……」
「そういうところが男を誘うんだよ。無防備過ぎるんだ!」
「だって……んっ!」


強く顎をつかまれ、唇が重ねられた。雅さんの舌が唇を割り、私の口内を乱暴にかき乱す。熱を帯びた舌は私の体にも熱を伝染させる。体の芯に灯がともされる。
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