【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
え……?

思わず声を漏らしそうになって寸ででとめた。手頃な代金で泊まれるシティホテルの方が稼働率も高いから採算も取れる。でもゴージャスで富裕層向けのブライアントホテルとなればそうはいかない。そこまで投資して回収できなかったら。

さすがの二階堂氏も眉をひそめた。


「ブライアントホテルねえ。なんといっても初期投資額がね。外装もそうだが内装も調度品もすべて格が違う。皿一枚取っても全くの別物だ。セカンドラインとくらべたら3倍、いや5倍はかかる。そこまで金は掛けられんよ」
「ごもっともです」
「それとも何か策でもあるのかね」
「具体的な策は日を改めて」


二階堂氏はふむと腕を組み、頭の中で計算しているようだ。


「とりあえず話は聞こうか」
「ありがとうございます。ではまた後日」


雅さんとは再び頭を深く下げ、私たちは二階堂親子から離れた。

気になって振り返る。

二階堂氏は笑顔だったけど、娘の咲希さんは眉をハの字に下げて今にも泣きそうな顔をしていた。






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