【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
オフィスがざわめきだした。こんな大きなプロジェクト、心が躍る。


「マンションは当然、三國不動産で建設する。タワーマンション1棟に通常の箱型マンションを2棟、地下2階から地上3までは高級ブランド店を集めたブランド街にする」


部長がそう説明すると合いの手を入れるように別の社員が質問する。


「それにあわせてホテルをブライアントにしたということですか? つまりは」
「ああ、そうだ。あの街一帯を高級住宅街に仕立て上げる。マンションは個人住宅を扱う住宅開発部が中心になるが、テナント誘致はわが開発部の担当だ。それとブライアントホテルも、だ」


マンション建設、テナントに高級ブランド店、ブライアントホテルを建設して、街を高級住宅街へ。壮大な計画に社員たちの高揚が空気で伝わる。

私もワクワクしてきた。でも、あれ?

ブライアントホテルを建設するには多額の費用がかかる。対費用効果が期待できないから出店はセカンドラインで、と二階堂氏が言い渋った。ただし長女の咲希さんと雅さんが結婚するなら、正式な業務提携してブライアントホテルを建ててやる、という流れだったはず。

背中に冷たい汗が流れる。
ひょっとして……私、捨てられた?


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