チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
「じゃあそれで私の名前とか知ったわけね?」
「うん・・あぁはい」

丁寧に言い直した僕に、時子さんはクスッと笑った。
自然に出た時子さんの笑顔に、僕も、つられるように笑みを浮かべる。
あぁ、なんだか胸のあたりがじーんときて・・・嬉しいなあ。

「ねえ」
「あぁはいっ?何でしょう」
「あなた、まだ私の質問に答えてないわよ」
「・・え?」
「あなたは私の夫じゃない。でも、見た目はホントにそっくりそのままあの人よね。あの人に似せて整形した形跡もないし」
「いや、整形なんてしてませんが」
「まさかあなた、あの人を殺して、顔の生皮剥いでくっつけてるとか・・・」
「ええっ!!そんな・・僕、誰も殺してないよ!」と慌てて否定したが、僕はやっぱり・・・少なくとも間接的に「りげんさん」を殺したことになるんじゃないのか・・・?

愕然とした僕は、口を少し開けたまま、ガックリうなだれた。
4・5秒程、あたりに沈黙が広がる。

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