チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
「あ」
「何」
「それともあなた、他に行くあてがあるんじゃない?あの人としてじゃなくてよ。以前のあなたにも家族とかいるでしょう?」
「・・・あ・・・」

なぜか、痛いところと指摘されたと思ったのは、時子さんが家族とかの「とか」という部分を、それとなく強調して言ったような気がしたからか?
ここは正直に言った方がいいかもしれない。だってついさっき、「僕のことを信じてくれ」と訴えたばかりじゃないか。

「・・うん。僕には両親と2つ下の弟がいる。みんなまだ生きてる・・はずだ。それから僕は・・婚約してたんだ」
「まぁっ・・・!そうだったの。だったらこんなところでボヤボヤしてないで、サッサとあなたの家か、婚約者のところに帰った方がいいんじゃないの?」

時子さんは、僕のことを心配してくれている。心から。
その気持ちが痛いほど伝わってきて、僕はまた泣きそうになってしまった。
でも・・・。

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