幼なじみが好きでしょうがない



保健室に行くと、なぜか先生がいなかった……。


まあいっか、テーピングくらい自分で出来るし。


大事ではないんだけどさ……結構痛い。

それよりも、腹が立つ。



マリア……なんなの…………。



昔、突き指した時に、バスケのコーチにやってもらったテーピングを見よう見まねでやってみた。

「よしっ」
なかなか、うまく出来てた。

保健室を出て、体育館へ向かう途中。


ある人と出会った。






大雅……………………。


私は、彼の姿を見た瞬間、一瞬止まった。


彼も、同じように、私を見た瞬間、少しだけ止まった。

でも、大雅はそのまま、歩いてこっちに向かい、止まったままのあたしの横を、スっと通った。


私の顔を全く見ずに。


言うんだ。

私。




言わないと。



遠ざかる、足音を聞きながら自分に言い聞かせ、振り向いた。



「大雅…………!」

私がそう叫ぶと、大雅は振り向いた。










「ありがとう……!!!!」












「あの時も……!…………と…手嶋くんのことも……!」


私は、それを言った瞬間、涙が出てきた。







「ほんとに、ありがとう…!!!」



「それと……バスケ、頑張ってね!」





私が大きな声でそう言うと、

「おう。」



それだけ言って、また去っていった。



大雅……ちょっと顔が柔らかくなってた。


夏休みの最後の夜の時よりも……。






やっと言えた。


よかった。



< 183 / 200 >

この作品をシェア

pagetop