甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
キス
「……」
首の下まで湯船に浸かる。
雨にずっとうたれて冷えきった体にお湯が染み込むように温かくなる。
あれからしばらく大くんに抱き締められながら泣いて、落ち着いたら大くんは家に入れてくれてお風呂を貸してくれた。
コンコン
「ゆあ、大丈夫か?」
「え、ひ、大くん!?」
浴室のドアから大くんの面影が見える。
ていうか私裸なんだけど…!?
隠すものがなくてせめて体で隠そうと慌てて体育座りをした。
私が慌てた様子が分かったのか、大くんはドア越しからふっと笑った。
「開けないから安心しろ。
バスタオルと俺の寝間着だけどここに置いとくから、のぼせんなよ。
…あと母さんにゆあは今日俺のところに泊まるって連絡しといたから」
「あ、うん…ありがとう」
私が返事したのを聞くと大くんは脱衣所から出て行った。
お母さんと学さんにどう連絡したらいいのか悩んでたことなんて、大くんにはお見通しだった。
お母さん怒ってるかな。
せっかくの芽依ちゃんの誕生日会を台無しにしてしまった。
これ以上一人でいると余計なことを考えてしまいそうで、湯船からあがった。