只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜
美羽が家に帰ると美塁と美来が帰る支度をしていた。

「明日、送れなくてごめんね」
「ううんいいよ。それより体調に気を付けて」
「あと!あの胡散臭い社長にもなっ!!」

美塁はぶつぶついいながら手を動かす。

「お父さんにさ、時間が出来次第帰るって伝えといてくれるかな?」
「美羽帰る?」
「分かった、まかせろ!」

美羽は高校生にもなった2人の弟が自分が知っている弟だと心のどこかで安心した。

弟2人の滞在最終日、3人で外食に出かけた。

「懐かしいね、3人でご飯って」

あまり話すことが少ない美来が珍しく思いふけっていた。

「だな、次は父さんも一緒に来たいな」
「だね!」

美羽と美塁と美来は仲睦まじく和気藹々としていた。

「ん?柊木さん?」

美羽は後ろから聞こえた声に振り返る。

立ち止まった美羽に気が付いて美塁と美来も振り返った。

「やっぱり、柊木さんだ」

目の前にいたのは同じ部署の同僚…笠崎だった。

美羽は会釈だけしてやり過ごそうとした。

しかし、笠崎に腕を掴まれた。

「これからご飯なら一緒にどう?」

笠崎には弟が見えていないようだった。

「いえ、連れがいますので…」

振り解こうとしても力の差で振り解けなかった。

「その手、放してもらえますか。おじさん」

そう言うのは鋭く睨みつける美塁だった。

美羽から振り返ると同時に涙が流れる。

美塁はそれを見過ごさなかった。

「大の大人が、公の場で女を泣かして恥ずかしくないの?」

笠崎の美羽の腕を掴む力が少し緩む。

美来はすかさず空いていた美羽の手を引っ張った。

「汚い手で美羽に触れないで…」

美塁は我先と歩き、美来は美羽の手を掴んだまま美塁の後を追った。

その日は外食の気分にはならなかったので、スーパーで買い物をして家に戻った。
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