只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜

悠哉の話Part2

〜悠哉side〜

彼女が倒れてしまった。

何とか病院に運んだが、酷い状態だと医者は言っていた。

彼女はどうやら自分で抱え込んでしまうタイプみたいだ。

最近は友達である中田さんとも話していないようだ。

彼女の仕事は上司の三ツ谷義春が上手く振り分けたようだ。

彼女の病院での眠った顔は青白く目の下の隈が濃かった。

何が彼女をそうさせたのか。

響輝は何かイラついているように見えた。

俺は目覚めないでいる彼女が心配になった。

俺も仕事がある。

ずっと彼女の傍にいる訳にもいかない。

だけど本音は彼女の傍にいたかった。

響輝から目覚めたと知らせがあった。

とりあえず、彼女の上司の三ツ谷に伝える。

三ツ谷は空いた時間に見舞いに行くと言っていた。

しかし、彼女と仲の良かった中田さんには何も言っていないようだった。

その方が彼女にとってもいいだろうと俺も響輝も三ツ谷も頷いた。

そして彼女は倒れる前の状態で戻ってきた。

だけど、俺は少し違和感を感じた。

それは彼女と同僚達との仲だ。

少し距離があるように思えた。

精神面は大丈夫なのだろうか…。

彼女は友達ではなく、上司や先輩と良く一緒にいるのを見かけるようになった。

俺が彼女のためにできることはないだろうか。

…彼女は退院したはずだ。

「退院」したはずなんだ。

なのに何故顔色が悪そうなのだろう。

またどこか疲れているのだろうか。

「響輝、柊木さんはまた…」
「ああ、ご家族の方が来ているそうですよ」

無理してないかと聞こうとしたが、その前に答えられた。

「ん?家族?」

父親だろうか、それとも年の離れた弟だろうか。

「柊木さんが倒れた件は、ご家族には伝えましたよ。…退院後に」

この男はなんて頭が回る男なんだ。

珍しく自分でも関心してしまった。

「社長、仕事が手につかない程心配でしたら手元に置いたらどうですか?」
「えっ!!??」

時より響輝の言う事は悠哉の斜め上を行く。

流石に悠哉も驚いたようだった。

「もし、次倒れることがあるようであれば…視野に入れといてくださいねゆ・う・や」

響輝は黒い笑みを浮かべる。

悠哉は肝が冷えるのを感じた。

本当にこの友人は黒いと悠哉は改めて思うのであった。
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