只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜
旅行日当日、美羽と桃歌は最寄りの駅で待ち合わせをした。

「遅れてごめんね」

待ち合わせ場所には桃歌が先に着いていた。

「いいや、電車の時間は大丈夫だから」

2人は揃って駅の改札口に向かった。

「先に乗ったら座れるから」
「そだね~」

電車の席に座るなり、美羽は持って来たお菓子を広げた。

「今食べるの?」
「うん」

呆れ気味に言う桃歌に、美羽は真顔で返した。

「食べる?お菓子だけもあれだからお弁当もあるけど…」

美羽はリュックサックに入れていた小さめのお弁当を取り出した。

「…本当に料理好きだね」
「えへへ♡」

桃歌は美羽からお弁当箱を受け取る。

美羽は父子家庭だったからか、料理は小さい頃からやっていた。

不器用な父の代わりに、健翔の母親から教えてもらっていた。

「お母さんの味は出せないけどね」

美羽は親の話になると急激に笑顔が固くなる。

「でも、だからこそ沢山愛してもらったんでしょう?」
「うんっ!!」

和気藹々と会話している間に、電車は走り出した。

電車はゆっくりと発車し、暫くしてトンネルに入って行った。

美羽と桃歌はその間、昔話や大学の卒論、そして議論に花を咲かせていた。

トンネルを抜けると透き通るほどの海が見えた。

「綺麗!!桃歌、すごいよ」

美羽は目をキラキラさせながら窓の外の海を見つめていた。

「本当だ、遊びに来たいね」
「うん!」

旅館の最寄り駅で降りて、2人は旅館に向かった。

「では、お荷物お預かりいたします」

旅館のスタッフが美羽と桃歌から荷物を受け取った。

「じゃあ、探検に行きますか」
「はい、隊長!」

美羽と桃歌は旅館を後にした。
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