只今上司がデレデレちゅぅ！！〜溺愛上司に愛されて〜

美羽と桃歌は地元のお店をまわっていた。

食べ物や名所を歩き回った。

「これ美味しいね」
「…美羽が元気になって良かった」

桃歌は安心したように笑った。

「そんなにも、心配してくれた？」

美羽は首を傾げて聞いた。

「うん、ここ最近美羽は生きてる感じというか生気が感じられなかったから」
「ありがとう、桃歌」

美羽は桃歌に抱き着いた。

「うん…」

桃歌は優しく美羽を受け止める。

「さて、冷えてしまったし…旅館のお風呂入りますか」
「うん！」

美羽と桃歌は旅館に戻ってチェックインを済ませた。

宿泊部屋に行き、２人は浴衣に着替えた。

「お風呂、もう入れるらしいから行こ」

美羽が桃歌の腕を引っ張る。

「分かったよ」

桃歌は美羽に引かれるがままについていくことにした。

大浴場に向かう途中、男だらけの団体様と２人はすれ違った。

「え…」

美羽は団体の１人と目が合ったような気がした。

「嘘でしょ…」

美羽は立ち止まって俯く。

「どうした、美羽？」

桃歌は美羽の顔を覗き込んだ。

美羽はすぐさま桃歌の後ろに隠れた。

「うぅ…」

美羽は大浴場に着く前に部屋に戻った。

桃歌は美羽を追いかけて部屋に向かった。

ガチャっとドアが閉まる音がした。

「うぅぅぅっ」

美羽は丸くなって部屋の片隅にいた。

「どうしたの、美羽」

桃歌は美羽の前にしゃがみ込み、美羽の背中を撫でる。

「桃歌…いたの、面接のときにいた面接官が…」
「…目が合ったっていう？」
「うん、そしてまた目が合った…うぅぅ」

美羽はまた唸り始めた。

「じゃあ、さっきの団体様ってあの企業の？」

うんと声にもならないほど小さく美羽は頷いた。

美羽と目が合った瞬間、相手も気づいている様だった。

美羽はまた最初の状態に戻った。

つまり、振出しに戻ってしまったのだった。