俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「元気そうで安心したよ」

「あ……うん。陸斗も」

青春時代すべての時間を共に過ごした人との再会は、胸にこみ上げるものがある。

それに別れた原因がお互い就職活動がはじまり、忙しくなって心に余裕を持てなくなり、喧嘩が絶えなくなった。

結局最後は喧嘩別れ。そんな別れ方をしたのに、こうして笑顔で再会できるなんて……。

「この辺に勤めているの?」

別れた後、友達伝いに都内の企業に就職したと聞いていた。

「あぁ、そうなんだ。もしかして千和も?」

「……うん、この近く」

「そっか」

ポツリポツリと続く会話。お互いぎこちない。

照れ臭いというかなんというか……。どこを見たらいいのかわからず、視線を落とす。

すると目に飛び込んできたのは、陸斗の左手薬指にはめられている指輪だった。

「陸斗、結婚しているんだね」

「あぁ、これ……」

そう言うとなぜか彼は気まずそうに手を膝の上に置いた。

そして言いにくそうに話してくれた。
< 29 / 92 >

この作品をシェア

pagetop