たぶん、トクベツちがいな恋。


目が大きく開くのが、自分でも分かった。

勢いよく振り向けば、自分と同じように白い空気に包まれた、黒髪が映る。


「…あ、やっぱり近海だ。夜に来るんじゃなかったの?」

「…茶々…」


俺のとなりに並んで、紙コップをポトンとゴミ箱に捨てる茶々。
いつもと同じようにツインテールにして、私服にコートを合わせている。そして、白いマフラー。


「明けましておめでとう、近海」

「…」


すごく、久しぶりに会った気がした。ほんの1ヶ月くらいしか、経っていないはずなのに、おかしいな。

ついこの間、電話で声を聞いたはずなのに、おかしいな。


「…近海?」

「え?あぁ…うん。明けましておめでとう」


既読がつかないメッセージとか、今日一緒に行けなかった初詣とか。そういうのは、どうでもよくなった。

大きめの鞄。重そうだ。これから、また勉強するのだろうか。


「…もう、帰る?」

「え?うん。ゴミを捨てに来ただけだから。これから塾に…」



「——ちゃっちゃん!」



大きな目を、じっと見つめていた。相変わらず、綺麗な目だって。ぼーっとしていた。眠たいのもあったのかもしれない。

だけど、そんな俺の背中に、起きろと言わんばかりの大きな声がぶち当たる。


—— “ ちゃっちゃん ” 。


その声を聞いたのは、2度目だ。


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