オレンジ色の恋 ~切なさは誰の物?~
「ねえ、何部に入る?」
「そうだね……」
学食でとりとめのない話をしていても、さっきから思い出すのは印象的な笑顔だった。

なぜか目が離せなくて、ぼんやりと無意識にシャッターを押すなんて。

この春、中等部から高等部に上がった私、榊原結花。
中等部からの持ち上がりが半数以上締め、中等部にいたメンバーはほとんどわかるから、きっと彼は高校からこの学校に来たという事だけが、今わかっている事。

「ねえ、結花!何かあったの?」
亜美の言葉に、我に返って何度目かの「なんでもないよ」を繰り返した。

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