和泉くんの考えてることはわからない。
「ね、ねぇ、アオちゃん。帰ろ…?」
それは久野さんも感じたのか、和泉くんの袖を引っ張ってそう言った。
ちょっとした仕草も、声も、本当に可愛らしい子だと思う。
「ユキ、そこ座って待ってて。花宮さんと話があるから。あとこれも持ってて」
それなのに、和泉くんはそんな幼馴染を待たせてまで私と話すことがあると言う。
持っていたアイスをその子に預けた和泉くんは、顔を上げて私を見た。
バチっと目が合ってしまった手前、もう逸らすことはできない。
「え、それならあたし先に帰ってるけど…」
「何言ってんの。ダメに決まってるでしょ」
「もう、アオちゃん。心配しすぎだって」
そんな2人の会話が繰り広げられたかと思えば、久野さんは少し先にあるベンチへと行ってしまって。