見た目通りには行かない







「それにしても、どうして私なんだろう………」




それこそ、ベテランみどりさんの方が……



「ふふ、麗ちゃんは人気者だからね」



ポンポンと頭を撫でられる
お世辞ともわかってるけど、みどりさんの優しい雰囲気に笑顔になる


「あー、もう、そんな顔されたら抱き締めたくなる~」



なんて言いながら頭を撫でてくれる
23歳なのにって思うけど嬉しい



「大丈夫よ!さあ、頑張ってね!」



ポンッと背中を押してくれる
私はもう一度深呼吸をしてカートを押した


お茶出しにどうしてこんなに緊張するんだろう
緊張しすぎな自分に思わず笑える



カラカラとカートの音を聞きながらほんの少しだけ緊張は解れた
それでも、会議室の扉のまえに立つと緊張がぶり返す


こんな所で突っ立ってる訳にもいかない!
女は度胸!


コンコンと叩いてから会議室の扉を開けると全員では無いのだろうけど重役の方達が座っていた
会議が始まる5分まえから用意するように言われていたのでまだ、社長はいらっしゃらないようだ



「麗ちゃん、ありがとう」

「部長……」



企画課の部長が声を掛けてくれて、いつもの笑顔にホッとして緊張は解れる


「高安部長、この子が企画課のアイドルかい?」

「はは、そうですよ」


アイドル?と思いながらも席にお茶を置いていく
もちろん、他の方にも挨拶していく



「いやー、企画課が隠したくなるのもわかるなぁ」

「隠してる訳じゃありませんよ」


そんな会話を耳にしながらもお茶を置いていく
飲むときには熱いお茶も冷めそう
いや、もう冷めてるんじゃ?なんて思う
会議中にお茶なんて気にしないのだろうなぁ


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