見た目通りには行かない





そんな時、大学祭があって俺は彼女である七瀬を呼んでいた

俺の妹を誘ったらしいがどうしても無理だったみたいで友達と来ることになっていた
約束の時間に入り口に迎えに行けば男に絡まれている七瀬と友達の姿があった

俺が間に入ると、なかなか引かない
ただイキってるだけの男で怖くはないがたちが悪い
祭りと言う雰囲気もあるのだろう

心底面倒で一発投げてやろうかと思った時に二人が来た
まだ始まったばかりなのに帰るのだろうか


「退け」


たった一言
周りもその声にビクッと反応した
ただ、その男は一瞬で正木組と理解したようだ


「へぇ?お前が正木尊か?」


ニヤニヤと笑う男にやっぱり早々に投げてやれば良かったと思う
尊は立ち止まり男を見た
男は少し後退りながら、近くにいた七瀬を捕まえた



「キャッ」



七瀬に触れる男に俺の怒りがMAXになるが男は尊しか見ていない
尊と一瞬目があった



「離せ」

「やだね、あー、お前を一発殴らせてくれるんなら離してやるよ
天下の正木組の若頭を殴れるなんてなぁ」



正木組若頭の強さは聞いた事があった
正木尊に一発殴ったなんて言えば、でっかい箔がつくだろう
そんな小さな男の卑しさ
そんなやつに正木尊を殴らせる訳にはいかない



「お前……」「キャッ」


俺が"いい加減にしろ"と言おうとした時には七瀬は俺の腕に戻ってきた
え?
男も一瞬の出来事にキョロキョロしている


「殴ればいい」



正木尊はそう言った




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