見た目通りには行かない



その事件の後、礼を言いに言った俺に尊は「お前が手を汚すほどの男じゃない」と


いい男だと男の俺が惚れた瞬間だった


「まぁあいつ小物だったな」

「「あぁ、」」
光輝がそう言って三人で笑った
結局、あの男は……



「ははっ」

「お前、今度は笑ってんのか?怒ったり笑ったり何だよ」

「いや、大学ん時の小物男を思い出した」

「はは、あー、あれなぁ」

「あれ、折れたんじゃね?」


あの男は尊に殴りかかったのは良いが、尊の方が遥かに強かった
殴った男の方が尊の身体の強さに殴ったあと悶絶しながら転げ回った
たぶん指が折れたのかも
喧嘩慣れしてないのだろう

あれから俺たちは三人で居ることが増えていった



「尊、なんかあったのか?」

「あ?」


尊が酒を飲みながら俺を見てくる

なんか………空気が柔らかい



「和也!よくぞ聞いてくれたな!
尊に彼女ができたんだよ!」

「光輝、うるせぇ」

「え?ま、まじか?」

光輝が興奮すんのも当たり前だろ!

「どんな女?会わせろ!」

「まじ、いい女!竜のこれ」


そう言って小指を立てる光輝に尊の舌打ち


「は?竜の?」


おいおい、それって……


「あ、竜はヤってないよ!竜が10年間大事にしてた女!
その辺の話は今度竜に聞いて!」


尊に彼女か…

麗に今度聞いてみるか
この二人には妹が二人と同じ会社だとは言ってない
勿論、麗にも

それにしても……

尊の元カノを思い出す
一度だけ会ったことがある
確かに可愛かったが、最低な女だった

尊には幸せになって欲しい




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