“あなたを愛しています”





司君に、その関西弁に焦がれる私なんて気にしない司君は、ピシッと背筋を伸ばした。

そして、私に向き直って標準語で言う。




「花器のことは気にしないで。

それより、打ち合わせまであと少しだよね。

俺、急いで装花のサンプル作るからぁ」





それから……

私は彼から目が離せなかった。

彼が生花を手にした瞬間、部屋の緩んでいた空気がピンと張り詰めた。

その緊張の中……

彼は真剣な表情で、だが、楽しそうに口元を少し歪めて、新しい花器に次々に生花を盛っていった。


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