“あなたを愛しています”





真っ赤な顔の私を、司君はしっかり見つめた。




「花奈ちゃんが、好きなんだよ」






人々が行き交う冷たい街東京で……

数日前に道で会った変人を見つめ、胸を焦がし、涙を必死に我慢した。





「私も……」




発せられた声は、消えてしまいそうなほど小さかった。




「私も……司君が好き……」





幸せだった。

世界で一番幸せだった。





この時の私は何も知らなかったのだ。

司君がどんな思いで好きと告げてくれたのか。

司君がどんな恋をしてきたのかを。


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