“あなたを愛しています”





司君はいわゆる草食系なのかもしれない。

昨日も私を家まで送り届け、キスのひとつもせずに帰っていった。



……キスか。

いつかするのかな、キス。

手が触れるだけで胸がいっぱいなのに、キスなんてしてしまったら、私は死んでしまうかもしれない。




甘い妄想に浸っている私を、由希さんが再び現実に突き戻す。




「せっかく彼氏が出来たのに、クリスマスも仕事なんてね……」



「仕方ないです。

そんな業界ですから」





そう言って、ふと思った。

クリスマスである今日、私は仕事だ。

司君は……友達の結婚式があるなんて言っていた。

私の知らないところで、司君は結婚式を楽しんでいるんだろうな。

どんな友達の結婚式なのかな。

LINE送ってもいいかなぁ。

でも、束縛する女にはなりたくないからなぁ。


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