“あなたを愛しています”






再び妄想に浸る私を、



「松島」



吉川さんが呼ぶ。

そんな吉川さん、今日は珍しく少し不機嫌だ。

どうしたんだろう。

だけど、私の心はすでに司君のものになってしまったらしい。

今までは気になった吉川さんのことも、気にならなくなってしまったのだ。





「松島。今日挙式の小川様がお待ちだ」



「はっ、はい!今行きます!」




きっと、吉川さんは私が小川さんに気付かなかったからイラついたのだらう。

司君に溺れて、仕事に支障が出るような女にはなりたくない。

私はぴんと背を伸ばし、ブライダルサロンのカウンターへと急いだ。



< 130 / 353 >

この作品をシェア

pagetop