“あなたを愛しています”





そんな私を、



「花奈ちゃん!」



呼ぶ声が聞こえた。

思わず振り向くと、コートにスキニーパンツ、そして寒そうにマフラーを巻いた司君が立っていた。

その大好きな顔を見て……

涙が溢れそうになる。

それをぐっと我慢する。





「あれぇ?花奈ちゃん、早いねぇ。

出てくるかなぁって待っていたら、本当に出てきたよぉ!」





そんな顔で私を見ないで欲しい。

あの頃のように、浮気相手と分かっていても諦められなくなるから。

……そう、私は弱い女だ。

ダメな女だ。



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