“あなたを愛しています”
司君はオフィスの扉は開けず、私の手を握ってマンションを出た。
そんな司君の手を離さないようにぎゅっと握り、彼に身を寄せる。
こうやってまた、司君と居られてすごく嬉しい。
夢ではないかと思うほどだった。
見上げると、司君も優しい顔で笑ってくれる。
そのいつも通りの司君に安心したが……
「頰、ごめんね……」
思わず謝ってしまう。
だって、私がぶん殴ったその頰は、赤く腫れていたから。