“あなたを愛しています”









司君はオフィスの扉は開けず、私の手を握ってマンションを出た。

そんな司君の手を離さないようにぎゅっと握り、彼に身を寄せる。

こうやってまた、司君と居られてすごく嬉しい。

夢ではないかと思うほどだった。




見上げると、司君も優しい顔で笑ってくれる。

そのいつも通りの司君に安心したが……




「頰、ごめんね……」




思わず謝ってしまう。

だって、私がぶん殴ったその頰は、赤く腫れていたから。



< 212 / 353 >

この作品をシェア

pagetop