“あなたを愛しています”
「あー……」
気まずそうにそれを押さえる司君。
「なかなかいいパンチだったよぉ。
花奈ちゃん、格闘家になれるんじゃない?」
彼は冗談で言ったつもりかもしれないが、その言葉が私の心を痛める。
私は勝手に自己完結して、司君を叩いてしまって……最悪な女だ。
下を向く私に、
「気にしないでよ」
明るく司君は言う。
「俺がはっきりしなかったから、花奈ちゃんを悲しませたんだし」
「……え?」
思わず見上げた私を、優しく目を細めて見つめる司君。
その綺麗な瞳に胸をとくんと言わせ、痛々しい頰に胸を痛める。