“あなたを愛しています”
「美沙子ちゃんは出版社に勤めていて、俺はフラワーアレンジメントの本の取材を受けただけなんだよ」
「そうなんだ……」
「元カノって言っても、たった三日でふられたから、元カノだなんて思っていなかったしぃ」
そ……そうなんだ。
その三日で、司君はオウンゴールを決めて振られたんだ。
なんだか安心してしまった。
それで思わず笑ってしまった。
「司君って、ドジなんだね」
「うん?ドジ?」
司君は少し驚いた顔で見る。
だから、なんでもないとまた笑った。
そんな私を見て、司君も嬉しそうに笑う。
こうやって、司君と笑い合っていると、心がほんわりと温かくなった。
これが幸せっていうんだ、はっきりとそう思った。