“あなたを愛しています”






ぽかーんとする私の隣で、司君がいつもよりも強い言葉を発する。




「俺は二度と帰らない、破門だって言ったでしょ」




その言葉には、司君の決心が伺えた。

司君は私の想像のつかないほど、将来について悩んだのだろう。




だが……今まで散々司君を追い回してきた両親が、諦めるはずなんてなかった。




「お前のために、婚約者を準備してん。お前に相応しい相手や。

次期家元として、精進しなさい」



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