“あなたを愛しています”





私の抵抗は虚しく、オフィスの外にコートと荷物とともに放り出されてしまった。

項垂れる私に、



「すみません……」



変人は謝る。





本当にすみませんだ。

この人に会ってから、全てが上手くいかない。

この人はお礼をするって言うけど、こんな変人のお礼なんてもらいたくない。

高級料理店に連れて行かれて、お金をせびられるのがオチだろう。






私はしっかりと立ち上がり、コートを羽織った。

そして、変人を見ずに告げる。




「こちらこそ気を遣わせてすみません。

お礼とか、本当にいりませんから!!」




逃げようとする私のコートを、変人が掴む。




「待ってください!!」




変人の声が響き渡った瞬間……




ビリッ……



生地が裂ける音がした。


< 37 / 353 >

この作品をシェア

pagetop