“あなたを愛しています”





我慢できず、振り返ってしまった。

視線の先に立っている変人はその綺麗な顔を泣きそうに歪め、捨て犬のように私を見ている。




構わないのが一番だと思う。

ロクな男ではないから。

だけど……私の言葉が深く彼を傷つけたことを思い知り、胸が痛んだ。





「すみません……」




考えるよりも先に謝っていた。




「言い過ぎました」




そんな酷い私を見て、嬉しそうに笑う彼。

不覚にもその無邪気な笑顔に、胸が苦しくなった。


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