“あなたを愛しています”
「あー、もう十一時過ぎてる」
その言葉で携帯を見ると、十一時十五分を指していた。
今日もまた夜更かし決定か。
だけど……夜更かししてもいい。
司君のことをもっと知りたいと思ってしまう。
だけど、司君はそう思っていないのかもしれない。
「今日はもう帰ろうね。
コートはまた今度」
もう……コートなんてどうでもいい。
だって、コートを買ってもらったら、司君の罪滅ぼしは終わりだ。
そうしたらもう、司君に会えないかもしれない。
……司君に会えない?
そんなの嫌だ、絶対嫌だ。
「家まで送るよ」
ここで、帰りたくないと司君の胸に飛び込んだらどうなるだろう。
だけど、妄想は膨らむばかりで、チキンの私は何も出来ない。
「うん……ありがとう……」
鞄を持って立ち上がった。