“あなたを愛しています”
「そうですね……桜庭司は、天才ですね」
林さんは遠くをぼんやりと眺めながら教えてくれる。
「変化自在。
どんな花も、桜庭司にかかれば予想外のアレンジメントに変わります。
芸術といえる奇抜なものから、結婚式の装花のような一般的なものまで。
華道とフラワーアレンジメントは違うものですが、桜庭司の作品には華道の美しさだって感じます」
私には、到底理解出来ない世界だ。
だけど、改めてすごいということだけは分かった。
私は……こんなすごい人を好きになってしまって、良かったのだろうか。
そんな時、ブライダルサロンのインターホンが鳴り響いた。
モニターには、ピシッとスーツを着た司君が映っていて……
心臓が止まりそうになった。