ほんもの。

電子レンジでチンをして、また寝室に戻る。

「うん、美味しい」

「それはね安藤直伝のレシピですから」

「だろうな」

「違うよ、愛情が入ってるからだよ」

「自分で言うかそれ」

ちょっと笑った安藤にほっとして、食べている様子を見た。今日は安藤をよく観察できる日だ。

そういえば、と今日一番聞きたかったことを思い出す。

「携帯どうしたの? 繋がらなかった」

「ああ、出先で水没させて、解約した。悪い、教えてなかったな」

「そういうのは、早く言ってほしいです安藤さん。連絡取れないし広報行ったら休んでるし」

< 111 / 235 >

この作品をシェア

pagetop