ほんもの。

意を決して安藤を見た。
さっきはあわあわしていて気付かなかったけど、ピアスつけてるし私服だし、柄悪いな……。

安藤も無理やり連れてこられたらしく、すぐに正座を崩した。
これは、どうしたら正解なんだろう。

「は、はじめまして」

「……はじめまして」

え、もしかして私だって気付いてない?

「休日は何を、」

「おい、この茶番をいつまで続けるつもりだ」

……ですよね。
私も正座を崩して、テーブルに頬杖をつく。

それにしても良い部屋だな、と安藤の後ろのガラスの向こうに広がる庭を見た。

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