ほんもの。

「じゃあ、お言葉に甘えて。月白置いていきます。駐車場の方、俺は手伝ってきます」

「お願いします」

ぽん、と安藤に肩を抱かれて、置いていかれる。え、説明はなし? ていうか、ここに残るのは安藤の方が適役だったのでは。

そんなことは言ってられない。私は安藤の家にあるのよりも大きいざるを掴んで渡した。

「ありがとうございます。あ、紺野緋咲と言います、初めまして」

「月白十和子です。初めまして」

「じゃあ早速なんですけど、冷蔵庫からきゅうり出して千切りにしてもらえます?」

せ、せんぎり……。料理の達人たちの単語に口が半開きになる。

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