ほんもの。
紺野の表札がかかった家のインターフォンを押すと、彼女が出てきた。慌てたようにスリッパを出して、キッチンの方へ戻っていく姿を見る。
「料理ができる人だ……!」
「そこかよ」
安藤が冷静に突っ込んでくれる。今はそれが有り難いくらいの状況で、全くここが誰の家で、どうして私たちがここにいるのか分からなかった。
「二人も参加したら流石に……」
「弟がバイト先から沢山素麺もらってきてくれて、余る程あるので参加してくれると助かります」
大鍋の中で菜箸をぐるぐるさせるその人が「すいません、そこのざる取ってもらえます?」と私の近くのざるを指す。