ほんもの。

もうひとつ布団を敷いたけれど、私たちは結局狭いベッドでくっついて寝転がっていた。

安藤は長身なので、更にベッドが窮屈になる。でも、そんな不満を漏らすことはなく。

「紺野さんから、話聞いた」

「……ん」

「安藤は私が聞かなかったら、紺野さんたちと会ったこと、言わなかった?」

どうかね、と少し考える時間。その睫毛が長い。

「何か、考えが変わってたら言ってたかもしれない」

変わる、変わらない。
紺野さんは変わらなかった、と言っていた。

「やっぱり、理由とか、知りたかった?」

「まあ今更だけど。会ったからって分かるもんでもないだろうとも思ってたけど」

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