ほんもの。

そして三島さんも思わなかった。だから奥さんと離婚するなんて考えなかった。

私たちはどこまでも遊びの関係で、そのまま終わってしまった。

「……君って」

三島さんが少し意地悪な笑い方をした。なんというか、嘲笑うような。

「俺のこと、本当はあんまり好きじゃなかったよね」

ひやり、と心が冷えた。

「えっと……」

「おっせえ」

後ろから声が聞こえた。振り向くとかったるそうな顔をした安藤の姿。
しかもピアスと私服バージョン。しかも顔が良いので、無駄に迫力がある。

三島さんの顔が固まる。

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