ほんもの。
私も安藤だと知らなければ、絶対関わりたくない。
「あ、え、ごめん」
時計を見ると時間を過ぎていた。もっと早く終わると思ったのだ。
「三島部長」
「え、誰?」
安藤が三島さんを呼ぶ。三島さんがきょとんとした顔で私の方を見た。
誰って、安藤なんですけど、そういえば三島さんに安藤の話をしたことってなかったっけ。
というより、私は三島さんに今まで何の話をしたっけ。
「広報の安藤です。少し聞かせてもらってたんですけど、なんで月白が責められてるんですか?」
「俺は責めてないよ」
「他人の愛情を疑う権利が、あんたにあるんですか?」