ほんもの。
「あのさ、前に安藤に感情ないよねみたいに言ったこと、ごめん」
「急にどうした」
「自分だって碌な恋愛してないのに」
枝豆の殻を空皿に入れる。自分のウーロンハイのグラスについた水滴に指を添えた。
「私さー、今まで二番目にされたことしかないの。いつも浮気相手にされて、それが分かって別れるの繰り返し」
「凶くじを毎年引くくらいの強運だな」
「引き寄せてんのかな」
「なんで今回は分かってて続けたんだよ」
カウンター越しに焼き鳥が焼けていくのが見える。
私は濡れた指先をお絞りで拭った。