ほんもの。
安藤の家に直撃することも可能だったけれど、しなかった。
出張で疲れているだろうし、急に来られても困るだろうし。
言い訳を並べて帰路につく。
ちょっと疲れてしまった。
「矢敷さん……もし灰澤さんが急に携帯解約したらどうします?」
小声で聞いてみる。何故かって、勤務中だから。
怪訝そうな顔を見せて、「え、勝手にすれば?」と答える。ああそんな答えを期待しているのではない。
「解約して、連絡出来なくなったら?」
「普通に聞くけど……え、連絡つかないとか?」
察しの良い矢敷さんは質問で返してくる。
図星すぎて心が痛い。