誰かがどこかで救われる
色素が薄いのか
中原君の瞳は茶色い。
髪も茶色い。
男子にしてはふんわりとした髪で、王子様顔に似合ってる。
優しい綺麗な顔をしてるけど
バスケ部のエースでその動きは機敏で激しく、そのギャップがたまらないと女子は言う。
「あ?うん……」
接点のない人気男子に話しかけられ
私は緊張して
愛想のない変な返事をしてしまった。
それでも中原君は気にもせず「これあげる」と、手のひらサイズのプラスチックに収まった自分のリンゴゼリーを私のお盆の上にのせた。
中原君の指は長くて
爪も私より長くて綺麗だった。
「あ、いいよ。大丈夫」
我に返って
慌ててゼリーを返そうとすると
「持って帰って食べてもいいし。伊田のある?」
中原君は伊田君の背中を突っつき聞くと
「悪い食べた。平子っちはある」と、伊田君は本当に申し訳なさそうに私に言い、それを聞いた平子君が素早く「あるある」って自分のゼリーを中原君のゼリーに重ねた。
ゼリーのタワーが高くなり
私のドキドキも高くなった。