誰かがどこかで救われる

平子君はしぶしぶベンチから立ち上がり

「部活頑張れよ」って私に言ってから、マネージャーの元にダラダラと歩き出す。

「平子先輩遅い」
「探したんですからねっ!」

甘えた声を出しながら
彼女達は平子君にまとわりついていた。

そして
2人は平子君の目を盗み
チラッと私の方を振り返りニヤッと笑う。

なんだろう
その勝ち誇ったような笑いは。

一年生が二年生にそんな笑いをしていいのだろうか

でもふたりとも

私より可愛くて

背が高かった。

私はひとりベンチに残され
なぜかムカついてしまい


部活に戻っても
音を外して怒られていた。

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