銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
宰相は私達に並んで歩き、ジェイの言葉を聞いて声を上げた。

「彼女がな」

手短に言ってジェイは自室に向かう。

宰相はもう追ってこなかったが、しばらくして侍従が二名私達を見つけ、慌ただしく動いてジェイ部屋のドアを恭しい仕草で開けた。

侍従達はテーブルの上に薬草らしきものや、小さな壺、白い布などを置いていく。

ジェイが侍従に何か告げると、彼らは隣室に消えた。

ふたりきりにされ、狼狽える私。

「……ねえ、私はメイドに世話を頼むから、下ろして」

ジェイは今朝目覚めたベッドにそっと私を下ろすが、自分が手当てをすると言い張った。

「俺の方が手当ては慣れているし、薬もここにある。まず服を脱いで傷を見せてくれ」

服を……脱ぐ?

ジェイの発言に固まる。

男性の前で服を脱ぐなんて嫌だ。

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