銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「俺を崇拝している者はいる。王家の血は引いていても市井で生まれたお前に、国を治められるとは思えん。早く俺をここから出せ」

サーロンは俺を嘲笑う。

その耳障りな声に、イライラした。

だが、ここで感情を乱せば負けだ。

「それで、また民衆を苦しめるのですか?話にならないですね」

冷淡に告げて踵を返すと、ゴードン達を連れて地下牢を出た。

俺と父がゴードンを処刑しないのは、それは俺も父も血を流すことをよく思っていないからだ。

どんな悪人であれ、生きて罪を償うべき。

血を流せば、禍根を残す。

だが、サーロンが俺や父を殺さずに塔に閉じ込めたのは違う理由だ。

親や兄弟を殺して王になった者は過去の王の亡霊に呪い殺されるという悪い言い伝えがある。

近親者を殺して王になった者はすぐに亡くなったらしい。
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