銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「……この爪も拷問のせいだって言ってたわね」

「そうだったな。普通なら怖がるだろうに、初めて会った時お前は怖がらず、俺の心配をした。なんて優しい子なんだって思ったよ」

「……やっぱり子供扱い」

少し拗ねて上目遣いに俺を睨むセシル。

そんな顔も愛おしいと思う俺は、相当彼女にはまっている。

「初めて会った時はな。だが、今は違う」

五年前、俺を救ってくれた少女は特別な存在だった。

だが、大人となった彼女と再会して、その女神のような綺麗な容姿だけではなく、彼女自身にも惹かれていって……。

セシルを好きになるのに時間はかからなかった。

恋は本当に……落ちるものなんだな。

「嘘。一緒に寝てても添い寝するだけだし、大人の女性をいっぱい知ってるあなたには私なんて物足りないわよね!毎晩のように宮殿を抜け出して遊びに行くって辺境の地にいても噂が聴こえてきたわよ」
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