銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
だが、俺の場合は天が味方したのか、無事に脱出し、セシルに出会った。

「本当にやるのか?」

ゴードンが不安そうに言う?

「今お前の部下が周囲の状況を確認してるし、俺はこの塔をよく知っている。心配するな」

「だが……」

「今の俺を見ても王太子だとは思わないだろ?」

ゴードンを見てニヤリ。

セシルを真似たわけではないが、今の俺は帽子を被り、黒髪のカツラをつけている。

俺の銀髪だとかなり目立ってしまうのだ。

渋い顔でゴードンは頷く。

「……まあな。だが、用心しろよ」

「わかってる」

「俺の部下が塔の周辺を偵察している間、そこのテントで少し休んでおいた方がいい」

部下が張ったテントをこいつは指差す。

「ああ。そうさせてもらう」

最近あまり寝ていないし、少しでも休んでおいた方がいいだろう。

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