銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
眉根を寄せて文句を言えば、ギリアンは「お世継ぎを作るのも大事なお仕事ですがね」とチクリと嫌味を言う。

こいつとは、同い歳の幼馴染で俺が王太子でも遠慮がない。

「お前が結婚して子供を作り、その子を世継ぎにしても俺は全然構わないんだが」

興味なさそうに返せば、ギリアンは思い切り顔をしかめた。

「国民は英雄のあなたのお子を望んでいるんですよ」

ギリアンの言葉に、椅子にふんぞり返りながら冷笑する。

「どうだか?今、世間では俺は遊び人で通ってるらしい」

「それはあなたが暇さえあれば、市井に飛び出して民衆の暮らしを探るからでしょう?娼館にも出入りしているそうじゃありませんか。それは、悪い噂くらい立ちますよ」

そう、俺はこいつが言うように、宮殿を抜け出して民衆の生活に問題がないか探っている。

娼婦だって仕事をしているわけだし、彼女達にもいい環境を整えてやりたい。
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